バイオマス・エネルギーの啓蒙書『里山資本主義』

藻谷浩介・NHK広島取材班『里山資本主義』角川書店を読んだ。著名地域振興コンサルタントとNHKの強力コラボ。「マネー資本主義」の取材チームが、広島放送局に転勤、中国地方の山間部で、木材パレット、バイオマス発電など里山の生活に出会ったことが、番組や執筆のきっかけだった。

1990年代後半から2000年前半にかけて、木材のほか、畜産の糞尿などでバイオマス・エネルギー活用が始まった。原油価格の高騰などで、エネルギーを取り巻く環境が激変している。政府も2002(平成14)年3月31日、バイオマス・ニッポン総合戦略を閣議決定し、バイオマスタウン構想(318地区)、補助金などが始まる。

建設や廃炉で巨額の資本投下が必要な原子力発電は、里山資本主義の対極なのかもしれない。福島第一原発事故、そして日本のバイオマス戦略の閣議決定から10年が過ぎ、バイオマス・エネルギーの意義を改めて啓蒙するうえで、この著書の刊行は誠に時機を得ている。「失敗事例は少なくない」(齋藤 2008)との指摘もある。だが、各地域によって共通性とともに固有性がある。それでこそ「里山」なのだろう。

参考文献
農林水産省「バイオマス・ニッポン」
http://www.maff.go.jp/j/biomass/index.html
日本有機資源協会「バイオマス構想DB」
http://www.jora.jp/biomasstown_DB/index.html
齋藤修(2009)「自然再生事業とバイオマス利用事業の失敗事例の収集と要因解析」『早稲田大学高等研究所紀要』
http://hdl.handle.net/2065/39431