赤井邦彦(2011)『格安航空会社が日本の空を変える』日本経済新聞出版社

☆☆赤井邦彦2011『格安航空会社が日本の空を変える』

外国人客の受け入れをはじめ観光産業が、日本の21世紀成長産業として期待されている。
日本訪問客を増やす、つまり航空利用者を増やすことだ。
エアアアジアXのアズラン・オスマンラニCEOによると、日本政府にお願いしたいことはビザの取得の簡素化という。オスマンラニCEOのインタビュー(第5章)のほか、羽田対成田(第2章)に厚みがある。

JAL破たんの理由を列挙しているページがある(198頁)。
無策の国策
政治家との癒着
歴代経営者の資質
民営化の失敗
高給与体質
労組問題
銀行の過剰貸し付け
バブル期拡大路線のつけ
大型機の過剰保有
国際線重視の経営
JASとの統合・合併
世界同時テロ
リーマン・ショック
事故

航空会社は、ヒットしたからといってがんがん収益を上げる産業ではない。華やかに見えて、空間を売るという点で、バスや鉄道、倉庫業と同じである。

安全を第一に、政府から認可を得て、コストを管理しながら、顧客の信頼を確保していく。
経営基盤の確立は地道なものであるが、逆に事故や経営判断のミスなどで経営悪化につながるリスクに囲まれている。

JALは1986年から10年間、一ドル平均184円で為替先物予約をし、その後の円高進行で、2000億円以上の損失という。一方、エアアジアXは2008年、1ガロン=100ドルでヘッジ取引をした。しかし実際の燃料価格は100ドルを割り込み、ヘッジ取引の解消で巨額の支払いをしなければならなくなった。しかしヘッジ取引の相手が、リーマン・ブラザーズ。同社の破たんにより、保証料(デポジット)1200万ドルだけで、追加的に巨額の支払いを免れた。

エアライン会社の生死には、相場や先物取引の運にも左右される。女性あこがれの就職先も金融と無縁ではない。