「ユーロを見る目」2016年、欧州懸念の再熱で、円高になりやすい

欧州など世界経済減速懸念や、銀行の健全性に対する不安を背景に、安全資産とされる円買いの動きが加速したとコメントされている。2016年6月までには、英国でEU離脱を問う国民投票も予定されており、欧州崩壊論や欧州危機論が出やすい。

ユーロ安はドイツの輸出に有利である。

いまドイツがユーロにとどまる「説明」をそう考えても間違いではない。たとえ政治家や有識者の世論向けのコメントも、WEBや報道の編集を経由して、最終的には、各個人で取捨選択され、世論が形成される。

ドイツは通貨・金融政策ではユーロ圏のため、ドイツ経済に比べて、通貨安にも通貨高にもかい離してきた。いまはドイツにとって通貨安のメリットを享受できる。東欧という新興地域は労働力と市場をドイツに提供している。

一人当たり名目GDPによると、ドイツとギリシャの経済格差は2000年で2.0倍、2009年で1.4倍まで縮小し、現在では2.2倍である。ドイツは積極的に支援してもよい。ただし、は東京都と東北や九州・沖縄の各との倍率と同程度である(県民経済計算)。ユーロ圏全体ではドイツとラトビアの格差が最大で7.4倍(2014年)。こちらは中国の省・直轄都市の格差とほぼ同じである。

法律・制度は継続するとしても、構想段階、法案段階、実施段階、10年後、20年ごと、理由づけは変わるもの。統一国家の日本なら40年前の構想で新幹線を建設できるのかもしれないが、欧州なら反論も多様で論理的でしょう(例えば、報告書のページ数が500ページ以上とか)。

幾多の戦争を経験した欧州の先達は政治統合を構想したのではないのか。他方、EUやユーロ圏で育った世代が次の欧州をどう次の制度修正を構想するのか。

通貨・金融政策の難易度は高い。貿易自由化、軍事同盟(安全保障)、人の移動の自由化を経て、通貨・金融政策の統合は、財政統合、最終的には政治統合に向けての工程表の最終段階に入れられる。

欧州統合は新しい政治なのか、ユートピアなのか。

経済的理由はむしろ支持を集める理由や世論形成の道具(方便)と考えるほうが大局を見誤らないかもしれない。

ただし、ドイツが大胆な財政支援に踏み出せないのであれば、早急にユーロ圏の離脱を容易にすべき。民主主義ゆえに、合意形成や手続きに時間はかかるが、副次的効果としては、それだけ、世界が欧州を注目する。