平島健司(2004)『EUは国家を超えられるか』岩波書店

政治学や国際関係論の学生を念頭に、欧州統合研究にいざなうテキストになる。

これまで、王朝の交代、領土の拡大、国家の誕生は、武力によってなされてきた。
そうした記録や事例が豊富なのが欧州でもある。

筆者が言うように、
西欧は、武力による支配ではなく、相互に独自性と多様性を尊重しつつ平和的な手段を用いて経済的復興と政治的復権を達成することを決意したのは、「第二次大戦が残した荒廃の中」である。

民主的に統合を進めるEUは、壮大な実験と言われるゆえんだ。

EUは国家ではないものの、経済政策については、通貨同盟、財政赤字やインフレの収斂目標などを課している。
ここでも、確かに、英国などがユーロに加盟しない「独自性と多様性」は確保されている。

ビジネスパーソンが読めば、
ギリシャのユーロやEU離脱はありえるのか。
市場が逡巡するとき、その可能性は極めて低いというシナリオに導いてくれるだろう。

140ページと枚数が限られていることもあり、お手軽な欧州統合の入門書と期待した読者は戸惑うかもしれない。しかし、統合した欧州の政策決定メカニズム、そして欧州統合研究の課題を簡潔に明示したのが、本書の意義なのだろう。

にほんブログ村 本ブログ 書評・レビューへ