【旅する統計学:対馬は長崎より国際観光地である】宿泊業やインバウンド客が重要な地域を探す

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統計をもとに、宿泊業やインバウンド客(外国人客)が重要な地域を探してみましょう。
観光客は、日帰りと宿泊者に分類できます。宿泊者に関する統計には、実宿泊客数、延宿泊者数、宿泊者延滞在者数と分かれます。さらに、外国人が出身国別にも把握できます。
インバウンド客の数を単純にランキング化すれば、首都圏や近畿圏が自治体が上位に並びます。これでは、統計分析ではありません。おもしろくない。

今回は、平成27年(2015年)の実宿泊者数を利用して、インバウンド客比率や人口比で比較する方法を示します。韓国まで50キロ、国境の島、対馬の高さが特徴的です。民泊・農泊にも積極的な地域です(http://tsushima-gbt.com/)。対馬を舞台の始まりとする朝鮮通信使がユネスコ世界記憶遺産に登録申請中で、東横INN対馬厳原(宿泊能力最大約300名)が2017年3月末、開業予定など変化を続ける地域でもあります。

もちろん統計にも課題というか、制約があります。ひとつは今回使用したのは日帰り客の統計ではないことです。次に外国人実宿泊者数の補足が自治体で異なる可能性があります。最後に、統計協力しない(できていない)宿泊施設が増加すると、カバレッジ、つまり信頼度が低下することです。統計から漏れる宿泊数が増大したときに、観光庁など統計作成担当者が対応を考える時が来るのかもしれません。実宿泊客数の人口比(倍率)は、観光都市度を示します。スキー客でにぎわうニセコ町は、国際観光都市の京都を大幅に上回ります。長崎県内では雲仙市13.4、そして対馬市の8.6倍が目立ちます。

<参考表>

実宿泊客数/人口 外国人実宿泊客数/人口 実宿泊客数に占める外国人
ニセコ町 77.6 18.7 24.1%
雲仙市 13.4 0.7 5.4%
京都市 9.1 4.9 23.6%
対馬市 8.6 3.4 40.2%
沖縄県 8.1 1.4 17.6%
山梨県 8.1 1.41 17.6%
平戸市 7.8 0.4 5.6%
佐世保市 6.8 0.6 9.1%
 小値賀町  6.6  0.01  0.1%
壱岐市 5.8 0.02 0.4%
長崎市 2.9 0.5 17.0%
出所:ニセコ町の観光客入込状況、京都市総合観光調査、長崎県観光統計、
観光庁宿泊旅行統計調査、国勢調査各2015年

※佐世保市にはハウステンボスが立地しています。
メモ:2017年3月12日~3月14日、小原篤次調査滞在。

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