レポート作成のヒント、長崎県立大学国際情報学部、准教授、小原篤次

「書く力は、読書力と深い関係がある」
「学生なら、当然、論文やレポートなどを書かなければいけない機会も多い。社会に出て会社に入れば、報告書から企画書にいたるまでさまざまな形で書く力が要求される。」
「それなのに、日頃の書く訓練があまりにも不足しているのではないだろうか」(斎藤、3頁)

書く力は、考えながら読む力と深く関係すると思う。経済学でも法律学でも政治学でも、1年の前期、入門コースを2単位取得した程度で、それぞれの学問をマスターしたことにはならない。それと同様、書く力も日頃の訓練が必要である。テレビや映画などの映像・動画は、読書より簡単に脳を刺激してくれる。しかし、大学の授業や実際の社会で、効果音やテロップ付の映像・動画のような強い刺激は稀である。強すぎる刺激になれると、読書や日常の会話の中から、発見、関心など考える力を奪いかねない。

ジャーナリストや大学教員を目指した私は、決して文章が上手い学生ではなかった。高校3年生、大学3、4年生のとき、マンツーマン指導でほぼ毎週、小論文や作文の添削指導を受けた。文章力の向上は、定期的に書く機会を設けたほか、テレビを見ることを完全に止める期間を設けることで、初めて読書に集中することができた。大学3、4年生で、少なくとも100冊の書籍を読破している。50冊でも100冊でも具体的な目標を立てることは、実行の励みになる。副産物としては就職活動のエントリーシートで、「趣味は読書」と記入するより、「目標通り100冊の書籍を読破」と記入した方が、強力な自己PRになる。書類選考に通過し、面接でも読書について質問されることだろう。

論文指導では、要約を書く前に、見出しと章立てを書くように指導する。読書も同様で、目次、そして「はじめに」や序章や第一章をじっくり読み、そして次に最終章を読む。この段階で、一冊の要約はほぼ完成する。そのうえで、関心があるところ、友達に伝えたくなるような新しい発見を速読で探す。だからブック・レポートの指定図書を「すべて読む必要はない」と説明している。

また、産業・企業の分析のため、副読本の会社四季報、日本経済新聞、経済雑誌(週刊東洋経済、日経ビジネス、週刊エコノミスト、週刊ダイヤモンド)の記事を引用する場合でも、まずレポートでコメントしやすいと思う産業・企業を探しなさいと指示している。具体的なキーワード(例えば、海外売上高の比率、成長性や収益性、健全性など指標)を決めて、記事を検索すれば、コメントしやすい業種名、企業名がみつかる。関心の具体的なキーワードを定めないと、膨大な情報量を前に呆然としてしまうだろう。多少時間をかけても、まずコメントしやすいと思える業種、企業探しに時間をかけるのがレポート作成の早道となる。

参考文献
斎藤孝(2007)『原稿用紙10枚を書く力』大和書房