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書評Bookreview

LINEを使わない「ビジネスマン」も読める力作

IPO前のタイミングだけではなく、丁寧なインタビューに基づいた読み応えがある一冊です。「韓流」という視点もぶれていません。IPO後も、親会社ががっちり株式を保有するからくりにもページを割いています。同社のIPOに関心を持つ方のほか、LINEを使わない「ビジネスマン」も読める力作です。上場目論見書とともに読みたい一冊です。堀江貴文さんのインタビューも読ませます。

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新興国経済 書評Bookreview 金融経済関連

滝田洋一(2016)『世界経済大乱』日本経済新聞出版社

G20(The Group of Twenty)の時代を痛感させられる1冊だった。G20は1999年、財務大臣・中央銀行総裁会議として始まり、2008年以降、首脳会議も開かれている。前者はアジア通貨危機、後者は世界金融危機の後である。今年9月、中国・杭州で開かれる20カ国・地域(G20)首脳会議では、安倍首相が中国の習近平国家主席との首脳会談を開きたいとの意向を表明している。

二桁成長から減速した中国経済から、原油安が見舞うサウジアラビア、大統領選挙を控えたアメリカなど、全球大で俯瞰している。米国ユーラシア・グループ、Pew Research Center、日本のPHPグローバル・リスク分析も参照しながら、政治経済論的視点(地政学)で整理されている。そして最後に日本企業の内部留保にも言及されている。中国など新興国発の激震を、地球一周で活写しているのだ。日経のスター記者による渾身の一冊、官庁、企業経営者、個人投資家など読み手を惹きつけ、共感を与えるのだろう。

内外の経済や市場の変調が気になるタイミングといい、経営書が上位に並ぶベストセラーで、経済書として上位に食い込む原動力である。

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テキスト・参考書 外国為替FX 書評Bookreview 金融経済関連

清水功哉(2016)『緊急解説 マイナス金利』日本経済新聞出版社

EUの中央銀行(ECB)やスイス、デンマーク、スウェーデンに次いで、日本銀行もマイナス金利を採用した。民間銀行が日本銀行内の当座預金にある超過準備に対して、0.1%のマイナス金利を課すものである。

同書は、円高誘導の隠された政策目的から、副作用、そして個人の預金者、ローン利用者に目配せした金融リテラシーも含まれている。副作用として、1.銀行の仲介機能が低下するおそれ、2.保険、年金など資産運用への悪影響、3.人々の心理を暗くしてしまう危険性、4.財政の規律を低下させるリスク、5.緩和政策の出口が遠のく可能性、6.地価など資産バブル経済の危険性、7.国際的な通貨安をあおるリスクの7点を指摘している。

固定型か変動型かの比較は、住宅ローンの話は利子が付いた奨学金ローンにも通じる。とすれれば、学生や主婦も含めた幅広い読者にとっての必読書となる。

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ガイダンス グローバル人材 テキスト・参考書 書評Bookreview

石川真由美編(2016)『世界大学ランキングと知の序列化 大学評価と国際競争を問う』京都大学出版会

大学教職員のほか、スーパーグローバルハイスクールの高校教員、そして、海外大学を目指す高校生は、ぜひ読んでみて欲しい。海外の大学ランキングの「ゲームのルール」に迫った一冊。